久美浜は但馬へ向かう豊岡街道、峰山・宮津に向かう久美浜街道などが結節する交通の要衝地で、当地には享保20年(1735)に久美浜代官所、明治元年(1868)に久美浜県庁が置かれ、一時近畿北部の行政拠点として栄えた。
京丹後市久美浜湾沿岸の商家建築群と街なみ景観(府選定 文化的景観)に選定された地域は旧町の中心域で、東西の通りに沿った短冊形の区画が特徴で、中世山城と近世の代官所設置によって整えられた。
また、現在の街なみ景観を構成する家屋群は、大正14年(1925)の但馬地震、昭和2年(1927)の北丹後地震で甚大な被害を受け、復興された後の様式が基本となるが、所々には倒壊を免れた江戸時代から大正時代の商家建築も残る。
その他、震災後に架橋された石造橋梁や小型和船を収納する舟屋など、当地の風土に根ざした構造物も残されている。
歴史的な地割や、震災を経て復興された昭和初期の街なみが美しい景勝地である。