琴引浜

網野町の北東部に位置する琴引浜(国指定 名勝・天然記念物)は、延長1.8キロメートルの文字通り白砂青松の大変美しい海岸であり、この景勝地は古くから人々の目を楽しませてくれたようで、戦国大名の細川幽斎は「根上りの 松に五色の 糸かけ津 琴引き遊ぶ 三洋の浦々」と歌い、細川忠輿の妻 ガラシャ(明智光秀の娘)は「名に高き 太鼓の浜に 聞く秋の 遠にも渡る 秋のタさめ」と、琴引浜の一部にある太鼓浜を読み入れている。

また、明治時代の高名な歌人である与謝野鉄幹、晶子夫妻もこの地を訪れ「たのしみを抑へかねたる汝ならん 行けば音を立つ琴引の浜」(与謝野鉄幹)「松三本この蔭に来る喜びも 共に音となれ琴引の浜」(与謝野晶子)と歌を残している。

琴引浜の砂は、鳴き砂(地元では鳴り砂ともいう)と呼ばれ、脚をするように歩くとキュッ、キュッという妙なる音がして琴引浜の名の由来となっている。
また、浜の一部には、太鼓浜と呼ばれる一帯があり、踏めばドンドンと鳴って独特の風情が楽しめる。
鳴き砂は、石英の砂の粒同士がこすれ、振動しあって音が出るので砂の表面が少しでも汚れると鳴らない。鳴き砂は浜がきれいであり、自然が保たれている証明といえるだろう。

琴引浜には、900種類もの微小貝(大きさが1ミリメートル程)や原始的な生物である有孔虫が生息していることも確認されており、これもまた、この海がきれいであることを証明している。

ストーリー
<地球の営みが生んだ半島の景観と恵み><半島に語り継がれた豊かな伝説・伝承>
指定区分
国指定名勝・天然記念物
住所
網野町掛津・遊

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